連載「にゃんぞぬな日々」

にゃんぞぬデシの日々を毎月22日に更新します。

2018.09.22 遠慮の塊

にゃんぞぬデシは初インストアツアー『猫マタ旅』をしてまいりました。全国6ヶ所へ音楽を届けに。たくさんの方が出会ってくださり、皆様に『またここで歌う為に頑張る』という気持ちを戴きました。ありがとうございます。猫マタ旅大阪編でにゃんぞぬデシが立ち上げた自主レーベル「三毛猫レコーズ」のみんなでたこ焼きを食べに行きました。たこ焼きは全部で4種類。ソース味、醤油味、塩味、ポン酢味。大きなお皿に6つずつたこ焼きがのっています。全種類食べたところで、大皿を見てみると見事に各味1つずつたこ焼きが残っていたのです。テーブルに運ばれて来た時はチームソースvsチーム醤油vsチーム塩vsチームポン酢のように闘争心が漲っていたたこ焼きたち。しかし時が経つに連れ大勢のメンバーは就職をすることを決意し、「たこ焼き」から卒業してしまったのだった。そして、1人1人取り残されたソース、醤油、塩、ポン酢達。次週「取り残された4人!芽生える絆!??」というようなことを考えていたりいなかったりしていた私ですが、三毛猫レコーズの人が「遠慮の塊だね〜」と残ったたこ焼きの方を見て呟いたのです。私の耳が震えました。遠慮の塊!!!すごい言葉だ!!!「遠慮」というものは目に見えない概念なのに、「遠慮の塊」という表現をすることによって「遠慮」が目に見えているではないか!!!と、ショックなほど感動してしまいました。この言葉を生み出した人、詩人ですよ!天才ですよ!
いま私は自分で作った「遠慮の塊方程式」にハマっている。
「幸せのかけら」→お祭りですくってずっとテーブルの上に飾っていたがしぼんでヨボヨボになってきてしまったヨーヨー。※注意フィクションです。
「嗚咽の標本」→やけ酒をし、片付けなければいけないとは思ってはいるが、これが自分を表しているものだということを自覚して満足したいがために散乱したままにしている瓶や缶。※注意フィクションです。
「欲望の塊」→初めて食べた醤油味のたこ焼きが美味しすぎて最後の1つを食べてしまったにゃんぞぬデシ。※注意ノンフィクションです。ごめんなさい。

2018.08.22 平成最後の夏

私はかき氷屋でバイトをしていたこともある程かき氷が好きだ。8月4日に誕生日プレゼントでかき氷機をもらってからかき氷ofライフを送っている真っ最中である。
私はワンマンライブで水を飲むとき魔法瓶を使用する程魔法瓶が好きだ。朝、魔法瓶に氷を満タンに入れてそこに飲み物を注ぐと夜中までキンキンに冷たいままである。電気を一切使っていないのにすごすぎる。まさに魔法の瓶である。6月初夏に使い始めてから魔法瓶ofライフを送っている真っ最中である。
私の「平成最後の夏」はかき氷機と魔法瓶と生きた素晴らしい日々である。
今日は暑い。制作スタジオで音楽を創る予定がある。朝起きると冷房が敵わない、真夏の日がカーテンを突き抜けていた。これは朝ごはんにかき氷を食べるしかない。
時間に余裕があったので、かき氷を2つ製造して食べた。ちなみに1つ目は、きな粉練乳。2つ目はみかんソースだ。しかし、いつものようにかき氷の美味しさに感動していたところ家を出なければならない時間がギリギリになってしまっていた。
私は慌てて歯を磨いた。鞄を持ち、魔法瓶をいれ、ギターを背負い、靴を履き、外へ飛び出した。そこで私は気づいた。
歯磨き粉を口に含んでいるままであるということに。
焦り指数が平常値を超えていたのだ。だが、急がないと電車に乗れないので頬を膨らましながら走った。向こうから歩いている人から見れば、私は何かに対して怒りながら猪突猛進している音楽家だ。口に歯磨き粉を含みながら走るということは想像をはるかに超えた辛さであるため、非常識ではあるが、早く駅について駅のお手洗いで出そうと決意した。
駅に到着したのは電車が発車する1分前。だが、辛いのでホームから少し離れたお手洗いに向かった。しかし、全部人が入っていた。洗面所はピアスを直している人と髪型を整えている人で埋まっていた。私は『あああああ』と、大きな声で言いたいくらいだったが歯磨き粉に占領された口は開けることができなかったため歯磨き粉がはいっていてよかったと思った。
結局歯磨き粉ステイのまま電車に乗った。いま、私を笑わせるような人が電車に乗ってきたならもう終わりである。ふなっしーの梨汁ぶしゃー実写化である。だから感情を無にして電車に乗っていた。頬を膨らましながら。ほかの乗客から見れば私は何かに対して怒りながら電車に飛び乗ってきた音楽家である。あと少しで駅に着きそうになったとき、とても喉が渇いていることに気づいた。熱中症になるかもしれないという急な恐怖が歯磨き粉を飲む気持ち悪さに一瞬で勝った。私は無意識に歯磨き粉を飲み込んでいた。すぐに魔法瓶から水を飲んだ次の瞬間、私の口と喉が凍った。これは過剰表現ではない。本当に凍ると思った。魔法瓶に入ったキンキンに冷えた氷水と、歯磨き粉のミントが合わさり氷点下になっているのである。
そして、歯磨き粉氷水は体内で2杯のかき氷と待ち合わせをしていたため、結局私は氷になった。私の体は『平成最後の冬』だ。しかし『平成最後の冬』は『平成最後の夏』にすぐに溶かされ短い幕を閉じたのであった。

2018.07.22 甘栗ソムリエへの道

 好きな食べ物一品だけ、無限に出てくる魔法が使えたとしたらあなたは何の食べ物にしますか?
 私は迷わずに「甘栗」と答えます。
 できれば殻付きのやつでお願いします。私は甘栗ソムリエにすらなりたい。
 そんな魔法はまだ使えたことがないんだけれど私は『魔法が使えたみたいだった』というミニアルバムを7月25日(水)にリリースするのである。
 春から夏までずっと1日10時間くらい制作部屋に閉じこもっていた。
 私は制作部屋の壁に『甘栗のストックは絶対に切らさないようにしよう!』という透明なスローガンを貼ったのであった。だから毎日甘栗も一緒だった。
 益田トッシュさんという音楽家の方と一緒に、にゃんぞぬデシの歌とギターだけが録音された楽曲を色とりどりにしていく、アレンジということをしていた。
 今回、アレンジを一緒にすることができてどの曲どの1秒を切り取っても私が最高だ!素敵だ!と思ったものが詰まった作品にすることができた。
 制作も佳境に入った時期に事件は起きた。いつも購入していた甘栗が、パッケージは全く変わらないのに中身というか、甘栗の製法が変わってしまったのである。
 例えるならば、見た目は全く変わらないのにある日突然、「無口になりふざけることもしなくなったクレヨンしんちゃん」というくらい衝撃的なものであった。
 あっけにとられていた私の目の前にガラスのお皿に盛られた甘栗が置かれていた。
 甘栗畑から収穫してまだ5分しか経っていない。釜の中に放り込み、炒る。ホクホクと湯気が立つ。甘栗達はそんな、新しくて鮮やかな顔に生まれ変わっていた。
 トッシュさんがフライパンで加熱してみてくださったようだ。
 一粒口に入れて見た。私は甘栗を飲み込むまで中国天津に瞬間移動することに成功した。
 トッシュさんは実は甘栗ソムリエだったのだ。
 私はミニアルバム『魔法が使えたみたいだった』制作中に魔法を手に入れたのであった。
 にゃんぞぬデシ甘栗ソムリエへの道はまだまだ続く。

2018.06.22 ネコ型ロボット

 夜9時。
 夏になりかけている。
 駅に着くまであと8分。
 私を追い越していく人、すれ違う人は会社帰り、学校帰り、塾帰り、遊び帰り、バイト帰りのどれだろうか。歩いてる人みんなが帰り道とは限らないんだけどね。
 私は、歩いている途中にだって道路で寝てしまいそうなくらい強さを持った、睡魔と闘っている真っ最中であった。
 眠い。眠い。とにかく眠い。
 私は真面目に考えた。あぁぁドラえもんがいたら『ドラえも〜ん。どこでもドア出してよ〜。眠すぎるよ〜。もう家まで帰れないよ〜』って言って助けてもらえるのに・・・
 この日は朝から7月にリリースするミニアルバムの制作をしていて、10時間くらいスタジオにずっと篭っていた。
 10時間くらい。
 普段なら長時間同じ場所に居たくないと思うんだけど、制作中はそんなことを思う隙もなく、知らぬ間に太陽が居なくなって、月が浮かんでいる。音楽は浦島太郎の微弱玉手箱みたいだ。
 そんなこんなで、集中していた頭はスタジオを出た瞬間に解き放たれて、身を潜めていた睡魔が突進してきたのであった。
 なんとか駅に辿り着き、電車の座席に座り光の速さで私は寝た。
 「ニャオニャオ」と聞こえてきた。
 私は目を開けた。まだ1駅しか進んでいなかった。
 隣に「ニャオニャオ」を鞄に入れたお姉さんが座ってきたのであった。
 鳴き声の姿を見たい!!!!!
 茶トラか?白か?黒か?お姉さんの雰囲気的にロシアンブルーか?
 しかし、鞄は「ニャオニャオ」が怖がらないように布で覆われている。
 どうしても鳴き声の姿を見たい。必死の思いは届かずお姉さんは、わずか2駅で降りてしまった。
 気づけば私の目は冴えきっていた。
 実写版ドラえもんが目を覚ましてくれたのであった。
 いや、あの鞄の中には、私の目を覚ますために未来からやってきた、猫に変身した本物のドラえもんが入っていたのかもしれない。

2018.05.22 1万6800円

 にゃんぞぬデシです。私3年前に貯金箱を買いました。五百円玉を満タンに入れると20万円になる貯金箱です。高校2年生の私にとって、五百円の生存が発覚するたびに貯金箱の音を立てなければいけないというのは修行同然あり、6枚で断念しました。そこで五十円玉貯金にシフトすることにしたのでした。これだと満タンに入れると2万円になる。五百円と五十円の差額は450円だけど、20万と2万の差額って18万もあるんですね。算数の文章題つくれそうです。
 貯金箱は忘れ去られていた時期もありましたがずっと五十円玉貯金を続けるようになっていました。五十円玉のお釣りがくるようにSuicaの入金機では千円札を投入してチャージ金額は950円にしてたくらい五十円玉に染まった生活です。十円玉×5枚でお釣りが出てくる確率は42パーセントです。
 そして、先日ほぼ満タンになった五十円玉を通帳に預けることにしようと決め銀行に行ってきました。ATMで入金できると思ってたら、硬貨は窓口に行かないとだめだった。窓口の銀行員がガシャガシャと五十円玉を機械に放り込んでいる最中「できるだけ大きく変身して」って唱えてましたね。そして領収書的な紙をもらい、合計金額が判明!
 1万6800円!&手数料的なやつ200円!
 ちょっとぉぉぉ!!!手数料の200円なかったら1万7000円でなんかかっこいいのに…貯金を引き出す時に手数料取られるのはまだわかるんですけど貯金するときに手数料取られるって皮肉じみてませんか…
 振り返ってみてみました。貯金箱代が100円、手数料が200円。300円赤字なのかもしれない。五十円玉貯金をしていなかったら1万6800円使っていなかっただけかもしれないって思ってきてしまったんですね。そこで、私は閃いたのです。牛乳パックに千円札貯金をすればいいのだと。にゃんぞぬデシ硬貨生活スタート。(2枚で断念)

2018.05.22 タイムスリップ

2018年春、私にゃんぞぬデシの夢が一つ叶った。フルバンドでワンマンライブを行なったのである。
夢が叶ったということで、夢が誕生した時代にタイムスリップしてみたいと思う。時は、5年前にゃんぞぬデシ中学2年生である。小学生の頃マイケルジャクソンに衝撃を受けて以来、音楽には必然的な憧れがあったものの、私に『バンドをやりたい』という気持ちを発生させた光たちは4つあった。
1つ目はBECK(漫画)
2つ目はBUMP OF CHICKEN
3つ目はスピッツ
ここで『コユキも藤原さんも草野さんも皆んな歌いながらギター弾いているではないか!!そうか!!ギターを持てば自動的に曲が作れるようになるのか!!私もギターを買おう!!』という発想に至ったのである。
そして4つ目は閃光ライオット(聞いていたラジオSCHOOL OF LOCK主催のコンテスト)に出場したいという思いであった。だが、しかしギターを買うお金はない。そこで1日300円支給されていたお弁当代をへそくりすることにしたのであった。日に日に膨らんでいく憧れに相反して、へそくりの金額はなかなか成長してくれなかったが半年以上かけてやっと目標金額の2万円に達したのであった。小銭だらけの2万円を制服のポッケに忍ばせて入った教室では誰もが泥棒に見えた。授業が終わったあと、一番乗りで学校を飛び出しハードオフへ急いだ(楽器を売っているお店そこしか知らなかった)
楽器コーナーをちゃんと観るのはこの日が初めてだった。姿勢よく陳列された何十本ものギターは、飼い主に売りに出され、落ち込んだ表情をしているようだった。
端から順番に物色していく途中で三千円の赤いギターを見つけた時、想定外の安さにへそくり2万円の歳月も落ち込んでいた。私は赤が好きなのでこのギターを買うことに決めたのである。レジにギターを持っていくと店員さんが「このまま持って帰りますか?」と言った。たしかに素のままでは持って帰れないということに気付いた。ふにゃふにゃのギターケース(別料金500円)も一緒に購入して赤いギターを中に入れて持った時『新しい飼い主です。これからよろしくお願いします。』と伝えた。初めて背負ったギターが自動ドアに写っていた。最高にかっこよかった。
お店を出ると小雨がちょうど降り出したため「れいんちゃん」と名付けたが、未だに一度も名前を呼んだことはない。いつもはうなだれる雨の中を頭の中でスキップしながら帰宅し、さっそく弦に触れてみたが全く音がしない。あのギュイ〜ンという音が。三千円で壊れたギターを買ったのだと絶望していた。
私はアンプという存在を知らなかった。
私はエレキギターを知らなかった。
私は5年前ギターを弾けなかった。
私は5年前、曲を作っていなかった。
私は5年前いま出逢えている人の半分以上が知らない人だった。
私は5年前ギターを始めたのである。
タイムスリップ終了。
これからも数えきれないくらいタイムスリップをしていく。夢が誕生した場所へ。夢を叶えて。